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統計で見るリハ専門職の給料水準と訪問リハの位置づけ

訪問リハビリの給料はなぜ高いと言われるのか、まず公的データで水準を確認します。
厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』によると、理学療法士・作業療法士の所定内給与額は月額358.8千円(男女計)です。男性387.4千円、女性304.9千円と性別差もあります。ただし、「平均」の見方には注意が必要です。年齢別(コメディカルドットコム引用・同調査)では差が大きく見られます。
| 年齢 | 作業療法士の年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 337.5万円 |
| 30〜34歳 | 431.5万円 |
| 45〜49歳 | 519.7万円 |
20代と40代後半では年収が180万円以上開く可能性があります。「平均400万円台」という一数値で自分の水準を判断するのは避けてください。
勤務先カテゴリ別でも差があります。
| 勤務先 | 年収 | 調査出典 |
|---|---|---|
| 介護施設 | 435.3万円 | 厚労省令和6年度介護従事者処遇状況等調査 |
| 障害福祉 | 479.8万円 | 厚労省令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査 |
訪問リハビリ専門の単独公的統計は現時点で公表されていません。求人市場では年収400万円〜650万円という幅が参考値として示されることがありますが、年齢・地域・雇用形態・歩合の有無によって実態は大きく異なります。
なぜ高く出せるのか:訪問リハの報酬構造と固定費の仕組み

訪問リハビリの給料がなぜ高い傾向があるのかには、報酬制度の構造的な理由があります。
出来高に近い報酬構造(インセンティブ制度)
事業所の売上は、訪問1件ごとに積み上がります。介護保険の訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問する場合の基本報酬は、1回20分以上293単位・1人につき週6回が限度です(厚生労働省『訪問看護の概況及び介護報酬改定の内容』)。この「件数×単位数」が売上の原資です。
歩合制・出来高制を導入する事業所では、訪問件数が増えるほど給与が上がる傾向があります。リハビリテーションマネジメント加算などを算定できれば、月間売上はさらに積み上がります。医療保険と介護保険の並行算定が認められるケースでは、訪問リハビリテーション費の算定機会が広がる場合もあります。単位数の上限は算定条件により異なりますが、1日24単位・週108単位が目安として示されることがあります。
固定費が低く、人件費率が高くなりやすい傾向
訪問は大型設備が不要なため、地代家賃・設備維持費などの固定費が相対的に低い場合があります。その分が人件費に回りやすい一般的な傾向があります。
日本作業療法士協会ほか3団体合同実態調査(2025年)の協会試算値では、一般病院勤務PT1人あたりの年間利益1,094万円に対しPT平均年収367万円で、人件費率は33.5%とされています。これは公的統計ではなく協会による試算値ですが、事業所が利益から給与を配分する構造を理解する参考になります。
令和6年度改定とベースアップ評価料
令和6年度介護報酬改定・診療報酬改定ではベースアップ評価料が新設されました。令和6年度補正予算では医療分野の賃上げ支援として828億円が計上されています(厚生労働省第9回入院・外来医療等の調査・評価分科会資料)。制度的な賃上げの後押しがある一方、売上が訪問件数に直結する構造は「件数が落ちると収入も落ちる」リスクも内包しています。
地域区分と訪問件数で給料はどう変わるか

訪問リハビリの給料がなぜ高くなるかには、「地域区分」と「1日訪問件数」が密接に関わります。
地域区分(1級地〜7級地)で単価が変わる
介護報酬は地域区分によって1単位あたりの円換算額が異なります。都市部(1級地)ほど単価が高く、地方では低くなる制度設計です。同じ訪問件数・同じ単位数でも、地域区分の違いで月間売上が変わり、給与還元額に差が生じる可能性があります。収益の枠組みは「件数×単位数×1単位の単価(円)」で表せます。転職先を比較する際は、地域区分を必ず確認してください。
1日7〜8件が収益性の分岐点になりやすい傾向
一般的な傾向として、1日7〜8件の訪問を安定して確保できる場合、歩合部分が積み上がりやすくなります。一方、次のような状況では収入が不安定になるリスクがあります。
- キャンセル・移動ロスで訪問件数が予定を下回る
- 新規利用者の獲得が難しい時期に件数が減少する
- 固定給部分が低く、件数変動の影響を直接受ける
なお、神戸医療福祉専門学校のウェブサイトには「歩合制で月収40万円以上」という記述がありますが、これは入学案内ページの一般的な記述であり、公的統計に基づく数値ではありません。数値の性質を区別したうえで参考にしてください。
今後の給料はどうなる?2つのシナリオ
賃上げが続く可能性が高いシナリオ
リハ3団体(日本理学療法士協会・日本作業療法士協会等)は、PT・OT・ST1人あたり月額2万円以上の賃上げを要望しています(必要財源:年間約960億円以上、2025年12月時点・要望段階の数値)。令和6年度介護報酬・診療報酬改定ではベースアップ評価料・介護職員等処遇改善加算が整備され、制度的な賃上げ圧力が続く可能性があります。高齢化の進行に伴い在宅医療需要が増加しており、訪問リハビリを取り巻く報酬体系が維持・拡充される方向性も考えられます。
収入が不安定になりうるリスクシナリオ
歩合・出来高に依存する事業所では、訪問件数が確保できない場合に収入が下振れするリスクがあります。3団体合同調査(2025年)によると、介護施設でベースアップ「なし」が41.1%、医療施設でも25.9%に上ります。制度があっても全事業所で実施されているわけではなく、職場間の格差が大きいのが実態です。
訪問リハビリが向いている人・向いていない人
以下を参考に、自分のケースを確認してください。
向いている人
- 件数をこなす体力と自己管理ができる
- 収入を成果に連動させたい
- 1対1の関わりが得意
- 認定理学療法士・作業療法士などの資格手当で収入を上乗せしたい
- 移動・在宅環境への順応を前向きに捉えられる
向いていない人
- 固定給の安定を最重視する
- 件数変動による収入の波が不安
- 移動・天候・キャンセルの影響を避けたい
- チームで動く病棟環境を好む
よくある質問
Q1. 訪問リハビリの給料はなぜ高いと言われるのですか?
訪問リハビリの給料がなぜ高い傾向があるのかは、出来高に近い報酬構造と固定費の低さで説明できます。訪問1件ごとに介護・医療報酬が積み上がり、大型設備が不要なため人件費に回せる割合が高くなりやすい仕組みです。ただし、歩合制の有無・地域区分・訪問件数によって実際の給与は大きく異なります。なぜ高いのかを理解するだけでなく、その条件が自分に当てはまるか確認することが重要です。
Q2. 社会保険や手当はきちんとつきますか?
雇用形態によって異なります。正規雇用では社会保険・厚生年金・労働保険への加入が一般的ですが、非常勤・業務委託では適用されないケースがあります。求人確認時には加入有無と固定給・歩合の配分比率、ベースアップ評価料の反映有無を必ず確認してください。
Q3. オンコールや人間関係はどうですか?
訪問リハビリは1対1中心のため、病棟チームとは対人ストレスの質が異なる傾向があります。オンコール対応は訪問看護ステーション所属か否か・事業所方針によって有無が変わります。一概に「あり」「なし」とは言えないため、面接時に事前確認することをお勧めします。
次のアクションプラン:求人で確認すべき4点

| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| ①給与構造 | 固定給か歩合か、その配分割合 |
| ②地域区分と件数 | 想定訪問件数・1単位あたりの単価(地域区分) |
| ③社会保険等 | 社会保険・厚生年金・労働保険の加入有無 |
| ④処遇改善の反映 | ベースアップ評価料・介護職員等処遇改善加算の給与反映有無 |
事業所の経営状況を測る参考として、厚生労働省の医療経済実態調査や診療報酬関連通知(保医発)も活用できます。訪問看護ステーション設置基準(管理者・看護職員の配置要件等)を確認すれば、事業所体制の目安もつかめます。
訪問リハビリの給料がなぜ高いのかには、必ず仕組みと前提条件があります。条件を一つずつ確認し、自分のケースで納得できたら次のステップへ進んでください。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の処遇改善および急性期一般等に関する要望資料(日本作業療法士協会)
- 作業療法士の平均年収・手取り・年齢別の相場解説(コメディカルドットコム)
- 令和7年度予算・税制改正に関する政策要望書(日本理学療法士協会)
- 第9回 入院・外来医療等の調査・評価分科会 資料(厚生労働省)
- 訪問看護・介護報酬改定及び関連通知等 最新情報(全国訪問看護事業協会)
- 訪問看護の現状とこれから 2025年版(日本訪問看護財団)
- 令和6年度診療報酬改定について(医療DXの推進・共通算定モジュール)(医療福祉フォーラム)
- 訪問看護の概況及び介護報酬改定の内容(厚生労働省)
- 令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療・訪問看護)(厚生労働省)
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 結果(日本看護協会)
- 理学療法士の給料・年収・初任給の比較と職場別の特徴(神戸医療福祉専門学校)
- 理学療法士の転職・年収向上と令和6年診療報酬改定のベースアップ解説(環太平洋大学)

