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訪問看護計画書や報告書が、訪問後の残業や持ち帰りにならないか不安な方へ

日中は訪問で埋まり、訪問看護計画書や訪問看護報告書は夕方以降に回る。病院の看護記録とは別に、法的な書類を一から作るのか。転職前にそう迷うのは自然ですね。
データを見るとわかること:作成時間の公的統計は明示なし、ただし制度と残業データから傾向は読める
計画書の作成時間について、公的統計に明示はありません。
令和6年度介護労働実態調査では、介護労働者全体の平均残業時間は1.7時間です。訪問看護ステーション単独の値ではなく、月・週の別も概要資料で確認できませんでした。
一方、計画書と報告書の作成は省令第17条の義務です。記録は完結の日から2年間保存します(厚生労働省 集団指導資料)。書類をなくせる職場はなく、差は書き方の仕組みと分担に出ます。
ICTや事務職との分業がある職場は、負担が抑えられる傾向です。紙と手書き中心、管理者に確認が集中する職場は、残業になりやすいと考えられます。
義務、残業データ、PT・OT・STとの手戻り、職場の見分け方を順に見ていきましょう。
訪問看護計画書の作成時間に公的データはある?残業統計の正しい読み方

訪問看護計画書の作成時間を直接示す公的統計は、見当たりません。残業の統計から読めることを整理します。
計画書の作成時間は公的統計に明示なし
日本看護協会は2025年度時点で「令和9年度介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」を行っています。本稿執筆時点で、確認できた情報に結果の数値は含まれていません。
作成時間は、一般的な傾向として次の要素で変わります。
- 利用者の状態の複雑さ
- 新規利用者か継続利用者か
- ICT(タブレット入力など)の有無
介護労働実態調査(令和6年度)に見る残業時間と管理者の役割
介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」では、職位別の平均残業時間が示されています。
| 区分 | 平均残業時間 |
|---|---|
| 介護労働者全体 | 1.7時間 |
| 主任・(サブ)リーダーなどのまとめ役 | 2.3時間 |
| 管理職 | 2.9時間 |
対象は介護事業所の労働者全体です。訪問看護ステーション単独の数値ではありません。集計単位(月・週)も確認できていません。
役職が上がるほど残業が長い傾向は、訪問看護の現場と重なる可能性があります。管理者には、計画書・報告書の内容確認、職員への指導、主治の医師との調整が集まりやすいためです。ただし、この調査から因果関係は断定できません。
訪問看護計画書に法的に何を書く?指示書・報告書・記録の義務

訪問看護計画書は、任意ではなく運営基準で作成が求められる書類です。何を書き、どう保存するのかを確認します。
根拠は健康保険法・介護保険法と運営基準
訪問看護は、医療保険は健康保険法、介護保険は介護保険法の枠組みで提供されます。厚生労働省の「令和6年度 集団指導資料」では、次の条文が根拠として示されています。
- 第16条:主治の医師との関係
- 第17条:訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
利用者がどちらの制度かによって、書類の流れや連携先が異なります。入職前に、担当する利用者の制度の比率を確認しておくと安心です。
別紙様式1の主な記載項目
訪問看護計画書の主な項目は、別紙様式1に沿って整理されます。様式の改訂は、最新の通知で確認してください。
| 項目 | 実務での書き方の目安 |
|---|---|
| 看護・リハビリテーションの目標 | 利用者の望む生活を、評価できる形で書く |
| 問題点・解決策 | 課題と具体的な介入を対応させる |
| 評価 | 目標の達成状況を見直し、次の計画へつなげる |
| 衛生材料等が必要な処置 | 必要な材料と処置の内容を明確にする |
時間がかかりやすいのは、目標と問題点・解決策の言語化、評価の見直しである傾向があります。
訪問看護指示書→訪問看護計画書→訪問看護報告書の流れと居宅サービス計画書
基本の流れは次のとおりです。
- 主治の医師が訪問看護指示書を交付する
- 指示書に基づき訪問看護計画書を作成する
- 利用者・家族に説明し、利用者の同意を得て交付する
- 訪問を実施し、結果を訪問看護報告書で主治の医師へ提出する
介護保険の利用者では、ケアマネジャーが作る居宅サービス計画書との整合も必要です。内容がずれないよう、調整の手間が生じます。説明・同意・交付の手順にも、一定の時間がかかります。
保存期間2年間と訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱ
省令第30条により、次の記録は完結の日から2年間保存します(厚生労働省 令和6年度 集団指導資料)。
- 訪問看護記録書
- 訪問看護指示書
- 訪問看護計画書
- 訪問看護報告書
- 市町村等への情報提供書
訪問看護記録書は、Ⅰ・Ⅱに分かれます。Ⅰは初回時などの基本情報、Ⅱは訪問ごとの記録です。
電子化は「書類の手間を減らす制度」になり得るか
日本看護協会によると、医療保険分の訪問看護では、オンライン資格確認・オンライン請求が2024年12月2日から義務化されています。厚生労働省資料の猶予の経過措置は、遅くとも令和7年6月末までで、すでに過ぎた時点の情報です。
ケアプランデータ連携システムの「フリーパスキャンペーン」は、当初2026年5月末まででした。現在は、2026年度下期に予定される介護保険資格確認等WEBサービスとの統合日まで延長されています(日本看護協会)。
電子化は、請求や情報連携の手間を減らす可能性があります。ただし、目標や評価を考える時間そのものは減りません。
看護とPT・OT・STで作る訪問看護計画書:役割分担と記載の整合性

看護職員と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が関わる訪問看護計画書では、分担と記載の整合性が残業の差につながる可能性があります。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が関わる場合の一般的な分担
よくある事例として、次のような分担があります。
| 担当 | 主な記載内容 |
|---|---|
| 看護職員 | 全身状態、医療処置、生活全体の課題 |
| PT・OT・ST | リハビリテーションの目標と評価 |
これらを、最終的に一つの計画書にまとめます。最終確認を誰が行うかは、事業所ごとに決めておく必要があります。管理者の役割として位置づける事業所もあります。
整合性が崩れると手戻りが残業になる:よくあるズレ
一般的な傾向として、次のズレが修正の手間を生みます。
- 看護側とリハビリ側で目標の表現が食い違う
- 評価の時期がそろわない
- 報告書の記載が計画書と合わない
修正に訪問後の時間が使われやすくなります。防ぎ方の例は次のとおりです。
- 共通テンプレートを使う
- 評価日をそろえる
- 管理者が確認する時点を決める
予定時刻と実績時刻がずれたときの記録上の留意事項
基本は、予定ではなく実際の訪問開始・終了時刻を記録することです。遅れや延長が生じた理由も、あわせて残します。
報酬算定への影響は、所要時間の区分などに関わる可能性があります。具体的な扱いは、最新の厚生労働省の通知・Q&Aで確認してください。
残業になる職場・ならない職場の違い(傾向として)
件数や割合のデータはありません。一般的な傾向として整理します。
| ならない傾向 | なりやすい傾向 | |
|---|---|---|
| 入力 | 訪問先や移動中にタブレット入力ができる | 紙・手書きで、帰社後に転記する |
| 記録 | テンプレートや前回記録を引き継げる | 都度、一から書く |
| 事務 | 請求事務を事務職が担当する | 看護職が兼務する |
| 確認・調整 | 管理者の確認フローが決まっている | 多職種の調整が個人任せ |
| 利用者 | 新規利用者が分散している | 特定の職員に集中している |
見学や面接では、記録の入力場所、確認フロー、新規利用者の割り振りを質問すると、実態を把握しやすくなります。
訪問看護計画書と書類負担の今後:令和8年度診療報酬改定後の2つのシナリオ
可能性が高いシナリオ:電子化と情報連携が進む
医療保険分の訪問看護では、オンライン請求が2024年12月2日から義務化されています(日本看護協会)。ケアプランデータ連携システムも普及しつつあります。請求や情報共有の手間は、減っていく方向と考えられます。
令和8年度診療報酬改定は、すでに実施された時点です。具体的な内容は本稿では扱いません。勤務先がどう対応したか、最新の通知で確認してください。
リスクシナリオ:ICTを入れても負担が減らない職場
次のような職場では、負担が残る可能性があります。
- システムと紙の二重入力が続く
- 改定のたびに様式や届出が増え、管理者に集中する
例として、機能強化型訪問看護管理療養費1を令和6年3月31日時点で届け出ていたステーションは、令和8年6月1日以降も算定を続ける場合、届出が必要です(厚生労働省 近畿厚生局)。この注記が付されているのは機能強化型1の欄のみです。
見落としがちな書類:精神科訪問看護計画書・特別訪問看護指示書・身体的拘束等の記録
- 精神科訪問看護計画書:通常の計画書とは別の様式で作成します。
- 特別訪問看護指示書:交付された期間は、利用者の状態に合わせて計画を見直す必要があります。
- 口腔連携強化加算:口腔状態の評価や歯科との情報連携に関わる加算です。単位数や算定要件は、厚生労働省の告示・通知で確認してください。
身体的拘束等の記録は計画書にどう書くか
やむを得ず行う場合は、「切迫性・非代替性・一時性」の三要件を満たすかを検討します。記録する内容は次のとおりです。
- 三要件をどう判断したか(理由)
- 拘束の態様と時間
- そのときの利用者の状態
計画書には、拘束以外の代替策や見直しの時期もあわせて書いておくと、記録との整合性を保ちやすくなります。
訪問看護の書類業務の適性チェックリスト

向いている人
- 目標と評価を言葉にして整理するのが苦ではない
- 主治の医師、ケアマネジャー、PT・OT・STとの調整を自分の役割と受け止められる
- 隙間時間に記録を入力する働き方に抵抗がない
向いていない可能性がある人
- 書類はすべて事務職に任せたい
- 病院のように記録の型が完全に決まっていないと不安が強い
- 時間外を一切許容できない
いずれも、職場の仕組み次第で変わります。
書類負担が少ない職場を見分ける確認項目
- 訪問先で入力できる端末がある
- 請求事務の担当者がいる
- 計画書・報告書の確認フローと期限が決まっている
- 新規利用者の割り振り方が明確である
- 記録時間が勤務時間内として扱われる
よくある質問(FAQ)
Q1 訪問看護計画書などの書類業務が多いと、給与に反映されますか?
書類の量に応じた手当について、公的統計に明示はありません。
参考として、令和6年度介護労働実態調査では、看護職員の平均月収は前年度比+3.6%でした。金額ではなく増加率で、介護事業所の労働者を対象とした調査です。記録時間に残業代が出るかは、面接で確認しましょう。
Q2 夜間の緊急訪問のあとも記録は必要ですか?
必要です。緊急訪問も訪問看護記録書Ⅱに記録します。訪問看護のオンコール回数について、公的統計は確認できませんでした。
参考までに、病院(一般病棟)の72時間を超える夜勤者率は33.9%です(2025年 病院看護実態調査、日本看護協会)。訪問看護のデータではありません。
Q3 書類の指導が厳しい職場が心配です。
令和6年度介護労働実態調査では、直前の仕事が介護関係だった人が辞めた理由として、「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%でした。そのうち49.1%が「上司や先輩からの指導や言動がきつかった、パワーハラスメントがあった」を挙げています。
介護事業所全体のデータで、訪問看護に限りません。テンプレート、同行、確認ルールなど、指導の仕組みがある職場かを見る視点は、有力な判断材料の一つです。
次の一歩:応募前に確認すること
見学や面接では、次の4点を聞いてみてください。
- 訪問看護計画書・報告書の記録の流れを、1日の中で見せてもらえるか
- 使っている記録システムと、入力する場所
- PT・OT・STとの計画書の作り方
- 令和8年度改定後の様式変更への対応
訪問看護計画書の書類負担は、職場の仕組みで大きく変わる可能性があります。条件を確認し、納得できたら進むことが、後悔しない選び方につながります。焦って決める必要はありません。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 【全国訪問看護事業協会】訪問看護関連通知・Q&Aおよび最新動向一覧|業界レポート
- 【厚生労働省】令和6年度 集団指導資料(指定訪問看護の基準・計画書作成等について)|制度解説
- 【厚生労働省】訪問看護療養費請求の電子化(オンライン請求・資格確認)に係る猶予届出等について|制度解説
- 【日本看護協会】訪問看護に関する事業・実態調査および義務化への対応方針|業界レポート
- 【厚生労働省】令和6年度診療報酬改定に係る訪問看護療養費の届出および施設基準について|制度解説
- 【全国老人保健施設協会】令和6年度介護報酬改定について(詳細資料)|会議資料
- 【日本看護協会】2025年 病院看護実態調査 結果報告|公的統計
- 【介護労働安定センター】令和6年度 介護労働実態調査 結果の概要|公的統計
- 【日本看護協会】2024年 病院看護実態調査 報告書|公的統計


