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「月給35万~」「年収500万円可」——板橋区の訪問看護師求人でよく見かける数字です。しかし、その条件が自分に当てはまるかどうかは、求人票だけでは判断できません。
病院勤務者の44.5%が「収入を増やしたい」と回答している事実
転職を考える動機として、収入への不満は無視できません。
日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」によると、病院勤務の正規雇用フルタイム看護師(n=119)の44.5%が「収入を増やすため」を転職理由に挙げており、これが最多でした。
一方、訪問看護ステーション勤務者(n=60)では同項目が33.3%にとどまり、「専門性の維持・向上」が43.3%で最多でした。
訪問看護に移ると収入面の不満が相対的に小さくなる傾向はあります。ただし、これは全国調査のデータです。板橋区では、加算算定の種類・オンコール対応の有無・事業所規模によって年収が大きく左右されます。
実際の給与水準がどう決まるのか、具体的に見ていきましょう。
看護師の給与水準を公的統計で確認する

賞与込み月額41.6万円——看護師全体の基準値
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師(一般労働者・男女計)の賞与込み給与は月額41.6万円(平均年齢39.9歳・平均勤続年数8.2年)です。前年の令和5年調査では月額40.7万円であり、約0.9万円の上昇傾向にあります。
ただし、これは看護師全体の数値です。訪問看護師に限定した公的統計は現時点では存在しません。参考として、日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」では、病院勤続10年・31〜32歳・非管理職看護師の平均税込給与総額は月額334,325円(基本給250,380円)でした。前者は賞与の月割りを含む計算値、後者は含まない点に注意が必要です。
板橋区 訪問看護師 年収を考える上では、東京都特別区という立地により都市部特有の地域手当が上乗せされる傾向があります。
訪問看護ステーションは小規模・営利法人が主流
日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」によると、訪問看護ステーションの設置主体は営利法人(会社)が55.5%、医療法人が17.8%。看護職員常勤換算数は10人未満が75%(5人未満34.4%+5〜10人未満40.8%)を占めます。看護職員の平均年齢は46.0歳、平均勤続年数は6年4カ月です。
小規模事業所が大半のため、給与テーブルは事業所ごとのばらつきが大きい傾向があります。板橋区 訪問看護師 年収を比較する際は、平均値だけでなく事業所規模・設置主体・加算算定状況を合わせて確認することが重要です。
年収を左右する加算・手当・処遇改善の仕組み

介護保険法と健康保険法——報酬は二本立て
指定訪問看護ステーションの報酬は、利用者の状態に応じて2種類あります。介護保険法に基づく介護報酬と、健康保険法に基づく診療報酬(訪問看護療養費)です。主治医が発行する訪問看護指示書が介護保険適用の原則ですが、特別指示書が交付された場合は医療保険での訪問となり算定単価が変わります。精神科領域では精神科訪問看護基本療養費による別の加算体系が適用されます。
ターミナルケア加算・24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算
年収に直結する主要加算は以下の通りです。
| 加算名 | 概要 | 年収への影響 |
|---|---|---|
| ターミナルケア加算 | 看取り対応時に算定 | 対応件数が多いほど事業所収入が増える傾向 |
| 24時間対応体制加算 | 届出事業所が月単位で算定 | オンコール手当の原資となる |
| 緊急時訪問看護加算 | 緊急訪問発生時に上乗せ | 実出動ごとに報酬増加 |
オンコール手当は事業所によって1回1,000〜3,000円程度の幅がある傾向があります(公的統計に明示なし)。これらの加算を多く算定できる事業所は給与水準が高い傾向があります。
処遇改善の最新動向
令和6年度診療報酬改定で新設された訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は、利用者1人につき月1回780円(出典:令和6年度診療報酬改定概要資料)。介護保険側では、(介護予防)訪問看護の介護保険事業費補助金交付率は13.2%(出典:介護保険最新情報Vol.1454)です。
同実態調査(n=787)によると、訪問看護ステーションの78.5%が処遇改善等を「得ている」状況です。逆に約2割は未取得であるため、事業所選びの際は処遇改善加算の届出状況を確認することが年収に直結します。
なお、東京都看護協会「令和7年度事業概要」によると、就業定着奨励金として就業後6か月で5万円、就業後2年で15万円が交付される制度があります(令和6年度の6か月交付数は371件)。板橋区で訪問看護師として就業する場合も活用できる可能性がありますが、受講要件等は東京都看護協会への直接確認が必要です。
板橋区の現場条件——年収を高める地域特性
特定機能病院との連携が生む高医療依存ニーズ
板橋区には帝京大学医学部附属病院・日本大学医学部附属板橋病院などの特定機能病院が複数あります。退院患者は医療依存度が高い傾向があり、褥瘡(じょくそう)管理・在宅酸素療法(HOT)・経管栄養(胃瘻・鼻腔)・カテーテル管理などの処置スキルを持つ訪問看護師の需要が高い傾向があります。
これらの医療処置を伴う利用者を担当すると特別管理加算等の算定機会が増え、事業所収入の増加を通じて給与に反映される構造があります。居宅介護支援事業所との連携(ケアマネジャーとの情報共有)や、理学療法士・作業療法士との多職種連携も日常的に求められます。また、都市部では医療的ケア児への対応ニーズも増加傾向にあり、小児訪問看護に対応できるステーションは希少性が高い傾向があります。
訪問件数連動型インセンティブと記録業務
営利法人運営の事業所では、月間訪問件数に応じたインセンティブを導入しているケースがある傾向があります。基準件数(例:月70〜80件)を超えた分に1件あたり数千円の上乗せがある事業所も見られますが、算出基準は事業所ごとに異なります。
板橋区 訪問看護師 年収で600万円以上を目指す場合は、インセンティブの有無だけでなく特別管理加算等の算定率が高い利用者層を多く抱えているかが重要な判断軸になり得ます。
訪問看護報告書の作成は主治医への報告義務として必須であり、看護記録はSOAP形式が一般的です。クラウド型電子カルテの導入状況が記録業務の効率に影響し、訪問件数の確保に関わる傾向があります。直行直帰の可否も事業所のICT整備状況に依存する傾向があるため、面接時に確認することをお勧めします。
板橋区の訪問看護師の年収——将来の見通しとリスク

ポジティブシナリオ:需要増と処遇改善の追い風
厚生労働省の介護人材需給推計によると、訪問看護の介護人材数は2023年度の74万人から2026年度81万人(9%増)、2040年度94万人(27%増)へ拡大する見込みです。人材確保競争が激化すれば、給与水準が上昇する可能性があります。令和6年度新設のベースアップ評価料や処遇改善加算の拡充も追い風になり得ます。
リスクシナリオ:報酬改定と小規模事業所の経営不安
訪問看護ステーションの75%は常勤換算10人未満の小規模事業所です(2024年度看護職員の賃金に関する実態調査)。診療・介護報酬改定の内容次第で経営が不安定になるリスクがあります。また、区分支給限度基準額(介護保険の利用者1人あたり月額上限)の制約で訪問回数が制限される場合、事業所収入が伸び悩む可能性があります。事業所の経営安定性を見極めることが重要です。
板橋区の訪問看護師に向いている人・向いていない人
向いている可能性がある人
- 単独行動での判断にやりがいを感じられる
- 褥瘡管理・カテーテル管理など医療処置の経験が3年以上ある
- オンコール待機(夜間・休日)を許容できる
- 特定機能病院からの退院患者への対応に関心がある
向いていない可能性がある人
- 夜間の電話待機が精神的に大きな負担になる
- チーム医療の中で常に指示を受けて動くスタイルが合っている
- 収入の変動(インセンティブ)を許容しにくい
オンコール許容と医療処置スキルの2点は、ほぼ必須条件と考えておくほうが無難です。
よくある質問——板橋区の訪問看護師の年収と働き方
Q. 板橋区の訪問看護師の年収は病院勤務より高いですか?
公的統計に訪問看護師限定の年収データはありません。看護師全体の賞与込み月額は41.6万円(令和6年賃金構造基本統計調査)、病院勤続10年の税込給与総額は月額約33.4万円(2024年病院看護実態調査)ですが、集計方法が異なり単純比較はできません。板橋区 訪問看護師 年収は、オンコール手当・インセンティブ・加算算定状況により大きく変動するため、事業所ごとの給与明細(基本給+手当の内訳)を確認することが最も確実です。
Q. オンコール手当はどのくらいもらえますか?
公的統計に明示はありません。24時間対応体制加算届出事業所では待機1回1,000〜3,000円程度が設定されているケースが多いとされますが、出動時追加手当の有無は事業所次第です。面接で「待機手当の単価」「出動時追加手当」「月平均待機回数」の3点を必ず確認してください。
Q. 未経験でも板橋区で採用されますか?
訪問看護師の平均勤続年数は6年4カ月(同実態調査)であり、中途採用が主流です。未経験採用を行う事業所もありますが、病棟3〜5年程度の臨床経験が求められる傾向があります。東京都看護協会の就業定着奨励金(就業6か月後5万円・2年後15万円)の活用も選択肢の一つです。
転職前のアクションプラン
| ステップ | 確認内容 |
|---|---|
| ①給与の内訳確認 | 月給の「基本給」「オンコール手当」「インセンティブ」を分解する |
| ②加算算定状況確認 | 24時間対応体制加算・ターミナルケア加算・緊急時訪問看護加算の届出有無 |
| ③事業所規模の確認 | 常勤換算人数・設置主体(営利法人か医療法人か) |
| ④制度活用 | 東京都看護協会の就業定着奨励金・研修制度を事前確認 |
板橋区 訪問看護師 年収は、条件次第で病院勤務を上回る可能性があります。ただし、それはオンコール対応・医療処置スキル・事業所選びが揃った場合の話です。数字に先走らず、自分の許容範囲と照らし合わせたうえで判断してください。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 結果
- 2024年 病院看護実態調査 報告書
- 2025(令和7)年度 学校法人大東文化学園 統計・実績報告資料
- 看護の多様なワークスタイル 事例集
- 厚生労働統計一覧
- 令和7年度 事業概要・活動計画概要(東京都看護協会)
- 介護関係職種の雇用動向と賃金構造の現状(参考資料)
- 介護人材の需給推計と処遇改善施策の現状(参考資料)
- 介護保険最新情報 Vol.1454 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業
- 介護人材確保に向けた処遇改善等の課題(介護職員等の職場環境や処遇に関する実態調査結果)
- 令和6年度診療報酬改定の概要(医科全体版)訪問看護ステーションにおける賃上げに向けた評価の新設
- 診療報酬改定の基本方針 参考資料(令和6・7年度ベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率)
- 介護保険最新情報 Vol.1209 介護職員等処遇改善加算等に関する取組

