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訪問看護のボーナスが「病院より少ない」と聞いて、転職をためらっていませんか?
日本看護協会の2024年度調査によると、訪問看護ステーションの賞与支給率は75.3%。病院の88.0%と比べると低めですが、支給額の平均は約94万円と、病院の約95万円と大きな差はありません。
ただし、ステーションによって賞与額には大きなばらつきがあります。その差を生む要因は、基本給の設定・業績連動の有無・オンコール手当の扱いなど、複数の要素が絡み合っています。
この記事では、訪問看護のボーナス相場と、支給額を左右する仕組みを具体的に解説します。
賞与額を左右する6つの構成要素

訪問看護のボーナスは、複数の要素が組み合わさって決まります。
| 要素 | ポイント |
|---|---|
| 基本給 | 賞与算定の基礎。倍率が同じでも基本給が低ければ支給額は少なくなる |
| 業績連動型賞与 | ステーションの営業利益に連動する場合がある |
| 訪問件数手当(インセンティブ) | 月平均訪問件数に応じて加算される |
| オンコール手当・緊急訪問手当 | 賞与とは別に毎月支給される |
| 管理者手当・資格手当 | 役職・資格により基本給に上乗せ |
| 決算賞与・寸志 | 年度末業績に応じて追加支給される場合がある |
基本給と諸手当の切り分けが実質支給倍率を変える
賞与は「基本給×支給月数」で算出するステーションが多い傾向があります。オンコール手当や訪問件数手当が賞与の算定基礎に含まれるかどうかで、実質的な支給倍率は大きく変わる可能性があります。雇用契約書や就業規則に「賞与の算定基礎は基本給のみ」と明記されている場合、手当が手厚くても賞与額は低くなる場合があるため、入職前の確認が重要です。
オンコール手当・緊急訪問手当の実態数値
日本看護協会の2024年度調査によると、オンコール関連手当の平均は以下のとおりです。
| 区分 | 1回あたり平均 | 平均回数/月 |
|---|---|---|
| オンコール待機 | 2,233円 | 7.7回 |
| 電話対応 | 609円 | 5.0回 |
| 緊急出動 | 1,791円 | 2.3回 |
これらはボーナスとは別の毎月の収入です。年収ベースでの影響は無視できません。
手取り額に影響する社会保険料・所得税の仕組み
賞与から差し引かれる主な項目は以下のとおりです。
- 健康保険・厚生年金:標準賞与額(1,000円未満切り捨て)に保険料率を乗じて算出。厚生年金の標準賞与額の上限は月150万円
- 雇用保険:賞与額×0.6%(労働者負担分)
- 所得税:前月の給与額をもとに算出率の表で計算。前月給与が高いほど税率も上がる傾向がある
- 住民税:賞与からは原則控除されず、毎月の給与から均等天引き
手取り額は支給額の75〜80%前後になる場合が多い傾向があります。
就業規則・雇用契約書で確認すべき賞与の条件
労働基準法上、ボーナスに支給義務はありません。ただし、就業規則に支給基準が明記されている場合、会社は支給義務を負う可能性があります。入職前に以下を必ず確認してください。
- 支給月と算定期間
- 算定基礎(基本給のみ/諸手当込み)
- 支給日在籍条件(退職時の扱い)
- 業績連動の有無と計算方式
- 固定残業代が基本給に含まれているか
診療報酬改定と賃上げがボーナスに与える影響

2024年度診療報酬改定で「訪問看護ベースアップ評価料」が新設されました。評価料(Ⅰ)は月780円、(Ⅱ)は10〜500円(区分1〜18)で、収益増加分を賃上げに充てる仕組みです。
日本訪問看護財団の2025年調査では、令和7年度に賃上げを実施したステーションは66.1%でした。ただし、賃上げ方法の内訳は「基本給引き上げ」が49.2%で最多であり、ボーナス増額に直結しているとは限りません。
管理者手当・資格手当とキャリアパスによる賞与への影響
管理者職やキャリアパス上位職では、管理者手当が基本給に上乗せされる場合があります。基本給が上がれば賞与の算定基礎も増え、賞与総額が増える可能性があります。認定看護師・専門看護師などの資格手当も同様ですが、算定基礎への算入可否はキャリアパス制度と就業規則によって異なります。
なお、訪問看護ステーションのスタッフ(常勤)の賞与額平均は939,910円(日本看護協会2024年度調査・n=565)で、病院の949,091円と大きな差はない水準です。ただし、これはあくまで平均値であり、ステーションごとのばらつきは大きい点に注意が必要です。
2026年以降の訪問看護ボーナス動向
令和7年度調査では、訪問看護ステーションの66.1%が賃上げを実施しています。2024年度診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料に加え、介護保険の処遇改善加算(交付率13.2%)も継続されており、基本給が上がれば連動して賞与原資も拡大する可能性があります。ただし、ステーション間の収益格差は残るため、経営規模や訪問件数の多い事業所ほど恩恵を受けやすい傾向があります。
自分に合う職場を選ぶ適性チェックリスト
以下の項目が多く当てはまるほど、ボーナス水準の高い職場にマッチしやすい傾向があります。
- 基本給30万円以上を優先したい
- 業績連動より固定型賞与の安定感を重視する
- オンコール手当を年収の一部として計算できる
- キャリアパス制度や資格手当の明示を重視する
- 就業規則・雇用契約書を事前に確認できる職場を選べる
よくある質問
Q. 訪問看護のボーナスは「何ヶ月分」が相場ですか?
A. 日本看護協会2024年度調査では、訪問看護ステーションの賞与平均は約94万円です。ただし、算定基礎となる基本給はステーションによって異なるため「何ヶ月分」の単純比較は難しい場合があります。契約書で算定方式を確認するのが有効です。
Q. 未経験で入職した場合、ボーナスは初年度から出ますか?
A. 就業規則の算定期間と支給日在籍条件によります。入職から最初の支給日までの在籍期間が短い場合、減額または不支給となる場合があります。入職前に「初年度の支給見込み額」を確認することをお勧めします。
Q. オンコール手当は賞与に含まれますか?
A. 多くの場合、オンコール手当は毎月支給される別途手当です。賞与の算定基礎に含まれるかは就業規則で異なります。含まれない場合、賞与額は基本給ベースのみで計算される場合があります。
面接前に確認すべきアクションプラン

交渉・判断の精度を高めるために、以下を必ず確認してください。
- 賞与の算定基礎:基本給のみか、諸手当込みか
- 直近2年の支給実績:金額と支給月数
- 業績連動の有無:連動している場合の計算式
- オンコール手当の月平均額:年収換算での影響を試算する
- キャリアパス制度:資格手当が基本給に反映されるタイミング
訪問看護ボーナスの水準は、ステーションの経営方針と就業規則の中身に大きく左右されます。平均値だけで判断せず、上記の数字を面接で直接確認することが有効です。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 【日本看護協会】|2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 結果|公的統計
- 【日本看護協会】|2024年 病院看護実態調査 報告書|公的統計
- 【日本看護協会】|令和6年度 事業報告|事業報告書
- 【日本看護協会】|2024年病院看護実態調査 結果|公的統計
- 【日本看護協会】|2025年 病院看護実態調査 報告書|公的統計
- 【日本訪問看護財団】|訪問看護サービス提供体制強化に向けた調査研究事業 報告書|業界レポート
- 【厚生労働省】|介護人材確保に向けた処遇改善等の課題|会議資料
- 【厚生労働省】|介護人材の賃金の状況 参考資料|会議資料
- 【厚生労働省】|令和6年度診療報酬改定の概要(訪問看護ベースアップ評価料)|制度解説
- 【厚生労働省】|介護保険最新情報 Vol.1454:介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業|制度解説
- 【日本看護協会】|訪問看護:令和7年度賃上げ・職場環境改善支援事業について|制度解説
- 【厚生労働省】|介護保険制度をめぐる状況について|制度解説
- 【全国訪問看護事業協会】|最新情報ページ|制度解説

