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「訪問看護に転職したいけど、年収500万円には届かないかもしれない」——そんな不安を抱えたまま、踏み出せずにいませんか。
実は、公的データはやや異なる現実を示しています。
日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(2025年6月24日発表)によると、訪問看護ステーション勤務・スタッフ(非管理職)の正規雇用フルタイムの平均年収は約508万円(n=322)。病院スタッフの約530万円(n=1,428)と比べても、大きく見劣りしない水準です。
ただし、この508万円はあくまで平均値です。オンコール手当の有無、訪問件数に連動するインセンティブ、ステーションの規模や加算体制によって、実際の年収は上下に大きく振れます。条件次第では500万円に届かないケースも十分あります。
では、どんな条件が整えば500万円に近づけるのか。次の章から具体的に解説します。
データで見る訪問看護の給与水準と年齢別のリアル

先ほど触れた508万円(スタッフ平均年収・n=322)は賞与込みの数字です。月次ベースで掘り下げると、別の景色が見えます。
日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(2025年1月支給分、n=637)によると、訪問看護STの平均基本給月額は280,046円、平均税込給与総額(月額)は383,262円です。これを月給12か月換算すると約459万円。つまり、訪問看護 年収500万に到達するには、賞与と各種手当の上乗せが必要になります。賞与算出基準(月数・業績連動の有無)は事業所ごとに異なるため、求人票での確認が欠かせません。
年齢別の給与水準は以下の通りです(同調査、正規雇用フルタイム)。
| 年齢階級 | 税込給与総額(月額) | n |
|---|---|---|
| 35〜39歳 | 323,324円 | 30 |
| 40〜44歳 | 326,793円 | 52 |
| 45〜49歳 | 348,799円 | 78 |
| 50〜54歳 | 352,908円 | 74 |
| 55〜59歳 | 373,823円 | 42 |
年齢・経験とともに給与が上がる傾向はありますが、上昇幅は緩やかです。各区分のサンプル数(n=30〜78)は少ないため、個別の数値を過度に一般化しないよう注意が必要です。
賃金満足度(同調査個人調査、n=3,662)は「満足」7.1%+「やや満足」16.5%に対し、「不満」22.7%。満足度には個人差があり、手当体系や事業所規模が影響している可能性があります。
年収を押し上げる加算・手当と介護報酬改定の最新動向
訪問看護 年収500万の原資は基本給だけでは説明できません。ステーションの収益構造を理解することが重要です。
加算体制が給与原資を左右する
全国訪問看護事業協会「訪問看護の持続可能なサービス提供のあり方と役割に関する調査」(2024年7月)によると、加算の算定状況は次の通りです。
- 緊急時訪問看護加算(ⅠまたはⅡ):91.8%
- 特別管理加算:86.9%
- ターミナルケア加算:77.1%
24時間対応体制加算・緊急訪問看護加算を算定しているステーションほど収益が安定する傾向があります。精神科訪問看護基本療養費や在宅患者訪問看護・指導料、特別指示書(特別訪問看護指示書)への対応力も収益に影響する要素の一つです。
個人に付く手当の種類
主な手当は以下の通りです。
- オンコール手当:夜間・休日の待機に対する手当
- 管理者手当:管理職への職責手当
- 認定看護師手当:専門性手当の一種
- 訪問件数手当・インセンティブ制度:一定件数超の歩合
専門性手当の実額(手当「ある」事業所平均・母数小)は以下の通りです。
| 区分 | 平均手当額(月額) | 手当「ある」割合 |
|---|---|---|
| 専門看護師 | 19,615円 | 39.4%(n=33) |
| 認定看護師 | 13,574円 | 44.3%(n=115) |
| 特定行為研修修了者 | 10,148円 | 34.1%(n=88) |
一方、賃金表で「特別評価をしていない」事業所も認定看護師で37.4%存在します。資格取得の年収への影響は限定的なケースもあります(日本看護協会、2024年度賃金実態調査報告書)。
2026年介護報酬改定で何が変わるか
令和8年度介護報酬改定では、訪問看護が介護職員等処遇改善加算の新規対象となる方向です(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1454」)。(介護予防)訪問看護の加算率(案)は13.2%とされています。
ただし、2点を必ず押さえてください。①令和7年度以前、訪問看護は同加算の対象外でした。②現時点は「案・方向性」段階であり、確定値ではありません。参考として、介護分野全体のベースアップ目標は令和6年度+2.5%・令和7年度+2.0%です(厚労省リーフレット)。
月間訪問件数とインセンティブ発生ラインの考え方

給与の総額をイメージするには、「1人が月に何件訪問するか」という実態を把握することが有効です。
1事業所あたりの月間訪問件数
全国訪問看護事業協会調査(2024年7月)によると、1事業所あたりの月間延べ訪問回数は以下の通りです。
| 保険区分 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 介護保険(n=3,238) | 370.6回 | 284回 |
| 医療保険(n=3,234) | 322.3回 | 203回 |
| 合計(n=2,563) | 692.9回 | 487回 |
看護職(看護師+准看護師)の平均実人数は6.7人(同調査)。合計中央値487回を6.7人で割ると、1人あたり月間約73回が目安として浮かびます。ただし、PT・OT等の体制や非常勤比率によって実態は異なるため、あくまで概算です。
年収500万に近づく2つの経路
よくある事例として、訪問看護 年収500万に近づく経路は主に2つに整理できます。
①件数型:訪問件数手当・インセンティブ制度を活用し、月間一定件数を超えた分の歩合を積み上げる方法。損益分岐ラインは事業所ごとに異なるため、「月何件から歩合が発生するか」を採用面接時に確認することが重要です。
②手当積み上げ型:オンコール手当・管理者手当・認定看護師手当などを組み合わせる方法。管理職キャリアを選んだ場合、日本看護協会調査では管理者(看護部長・副院長相当職)の平均年収は約591万円(n=78)となっています。
いずれの経路が現実的かは、ステーションの規模・加算体制・給与規程によって異なります。求人票の「基本給」「賞与算出基準」「各種手当の支給条件」を入職前に具体的に確認することが、年収500万への近道になる可能性があります。
年収500万に到達しやすいシナリオ・届きにくいリスク

届きやすいケース
- オンコール・ターミナルケア・特別管理加算の利用者を継続担当できる
- 訪問件数手当やインセンティブ制度が給与規程に明記されている
- 賃金表を公開している事業所に在籍(公開あり:正規雇用離職率9.9%、非公開:13.1%/日本看護協会調査)
届きにくいケース
オンコール非担当・訪問件数が伸びにくい地域・賞与算出基準が不透明な事業所では、500万円に届きにくい傾向があります。
2026年以降の追い風
厚生労働省試算(日本訪問看護財団資料)では2025年までに訪問看護師12万〜13万人が必要とされています。令和8年度改定では訪問看護が介護職員等処遇改善加算の対象に追加される方向(案、加算率13.2%)であり、処遇が改善する可能性があります。ただし、現時点は「案」段階のため、確定値ではありません。
訪問看護で年収500万を目指す適性チェック
向いている人
- オンコール・緊急訪問に対応できる
- 件数・成果が給与に反映される働き方を歓迎できる
- ターミナルケアや医療依存度の高いケアにやりがいを感じる
- 管理者・経営者キャリアを視野に入れられる
管理者(看護部長・副院長相当)の平均年収は約591万円(n=78)、経営者は約736万円(n=20)です(日本看護協会2024年度調査)。ただし、管理職は経営管理・労務対応など訪問以外の業務比率が増えます。
向いていない人
- 夜間・休日のオンコールを避けたい
- 固定給の安定を最優先したい
- 単独訪問の責任の重さへの不安が大きい
よくある質問
Q1. 訪問看護で年収500万はオンコールなしでも可能ですか?
オンコール手当が年収に占める比重は大きく、担当しない場合は訪問件数手当や管理者手当での上乗せが必要になる傾向があります。退職金制度・住宅手当・社会保険完備の有無もセットで確認し、「総報酬」で判断することを推奨します。
Q2. 未経験から年収500万まで何年かかりますか?
日本看護協会調査では45〜49歳の月額平均348,799円(n=78)、55〜59歳で373,823円(n=42)と緩やかな上昇傾向が見られます。加算・手当の活用次第で差がつく可能性があり、到達年数は事業所の給与体系に大きく依存します。
Q3. 退職金制度や福利厚生は病院より劣りますか?
退職金制度・社会保険完備・住宅手当の有無は事業所ごとに差が大きく、一律には比較できません。面接で「退職金の算出基準」「住宅手当の支給条件」を具体的に確認することが必須です。
アクションプラン:内定前に確認する3ステップ

- 給与内訳を分解する
基本給・オンコール手当・訪問件数手当・賞与算出基準を求人票で個別に確認する。 - 加算・人員体制を質問する
「介護保険法」「健康保険法」に基づく算定加算の種類と、「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」に沿った人員体制を面接で確認する。 - 賃金表の公開有無を確認する
賃金表公開ありの訪問看護STは正規雇用離職率9.9%、非公開は13.1%(日本看護協会調査)。給与の透明性は職場定着と相関する傾向があります。
訪問看護 年収500万は、制度と職場条件を正しく見極めれば射程内に入る可能性があります。基本給・手当・賞与の内訳に納得できてから、一歩を踏み出してください。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 結果(ニュースリリース)
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書
- 訪問看護の持続可能なサービス提供のあり方と役割に関する調査 報告書
- 2025年 病院看護実態調査 報告書(No.102)
- 訪問看護に関する事業の紹介(日本看護協会)
- 2024年 病院看護実態調査 報告書(No.101)
- 訪問看護の現状とこれから 2025年版
- 介護職員等処遇改善加算 一本化リーフレット
- 介護人材確保に向けた処遇改善等の課題(厚生労働省会議資料)
- 介護保険最新情報 Vol.1454:介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業
- 介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)
- 全国訪問看護事業協会 2024年度お知らせ・通知一覧

