訪問看護のPTと看護師は何が違う?役割と給料

看護師
訪問看護ステーションで並ぶ看護師と理学療法士(PT)

訪問看護ステーションへの転職を検討しているPTにとって、「訪問看護 PT 看護師 違い」は最初に押さえたい疑問です。同じ職場で働きながら、役割・給料・キャリアの伸び方はどう異なるのか。この点は転職前に必ず確認しておく必要があります。

実はデータを見ると

厚生労働省「令和5年介護サービス施設・事業所調査」(日本訪問看護財団『訪問看護の現状とこれから2025年版』掲載、常勤換算N=103,314人)によると、職員構成は看護師63.7%に対し、理学療法士は14.8%。PTはあくまで看護師中心の職場に配置される存在です。

在宅リハビリの専門性を活かせる魅力がある一方、令和6年度介護報酬改定ではPT等による訪問に1回あたり8単位の減算が新設されました。条件によっては事業所の収益に影響し、PTの立場が厳しくなるケースも出ています。

役割・報酬・制度上の位置づけを正確に理解したうえで転職を判断することが重要です。具体的に見ていきましょう。

職員構成と基本報酬から見る、PTと看護師の立ち位置の違い

訪問看護ステーションの職種別人員構成を確認するスタッフ

先ほど触れた通り、訪問看護 PT 看護師 違いを考える起点は人員配置基準にあります。

厚生労働省「令和5年介護サービス施設・事業所調査」(常勤換算N=103,314人、日本訪問看護財団『訪問看護の現状とこれから2025年版』掲載)によると、看護職員割合は看護師63.7%・准看護師4.2%の計約68%。PTは14.8%にとどまります。

職種 常勤換算割合
看護師 63.7%
准看護師 4.2%
理学療法士(PT) 14.8%
作業療法士(OT) 6.4%
言語聴覚士(ST) 1.3%

看護師が組織の中核を担い、PTはリハビリ専門職として加わる構図です。全国訪問看護事業協会『アクションプラン2025最終評価(案)』(2020年)では、PT・OT・ST合計のリハビリ職割合は24.5%。在宅リハビリ需要の高まりを背景に、一定の存在感を持つ傾向があります。

基本報酬・単位数は令和6年度介護報酬改定で1〜3単位引き上げられました。ただし、PT等訪問には後述の減算が新設されており、PT訪問が多い事業所では単純なプラスにならない可能性があります。転職前に事業所の訪問実績と算定状況を確認することが望ましいといえます。

指示書・保険区分・算定要件で異なる「働き方のルール」

訪問看護 PT 看護師 違いを制度面で理解するには、以下のルールが重要です。

PTが訪問看護STから訪問する場合、医師が発行する訪問看護指示書に基づき、看護の一環としてリハビリを提供します。介護保険では「訪問看護Ⅰ5」(PT・OT・ST等の訪問区分)として算定され、20分以上を1回と数えます。週6回限度が設けられており、3か月に1回、看護師による利用者モニタリングの実施が義務付けられています。

医療保険では、厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)に該当する場合に医療保険が優先されます。また、特別訪問看護指示書が交付された特別指示期間(原則14日以内、月2回まで交付可)中は、週4日以上の訪問が可能になる場合があります。

PT訪問は居宅サービス計画(ケアプラン)に位置付けられ、ケアマネジャーとの連携が必要です。医療機関・老健に附属する訪問リハビリテーション事業所とは制度区分が異なり、訪問看護STからのPT訪問は訪問看護費として算定されます。

【令和6年度改定:PT等訪問の算定要件と減算】

以下の要件に両方該当する事業所では、1回(20分)あたり-8単位の減算が適用されます(出典:介護事業開業サポートセンター・トリケアトプス・厚生労働省Q&A Vol.5)。

  • 前年度のPT等訪問回数が看護職員訪問回数を超える
  • 緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算のいずれも未算定

厚生労働省Q&A Vol.5では、連続した2回の訪問を1回として数えるルールも明示されています。PT訪問偏重を抑制し、看護師との役割バランスを維持する制度設計です。

終末期・在宅でPTが担う専門的役割

在宅で高齢患者のポジショニングを行う理学療法士(PT)

訪問看護 PT 看護師 違いが最も鮮明に現れるのが、終末期ケアの場面です。PTは緩和ケアの一環として次の技術的関わりを担うことがあります。

  • ポジショニング:疼痛・褥瘡リスクを考慮した体位調整、クッション・補助具の配置
  • 呼吸リハビリテーション:呼吸困難感の緩和、排痰補助、呼吸筋ストレッチ
  • 身体機能評価・日常生活動作(ADL)評価:関節可動域・筋力・移乗動作・転倒リスクの評価

一般的な傾向として、看護師が全身状態・バイタル管理・医療処置を主軸に担うのに対し、PTは動作・姿勢・環境調整に特化した視点で関わります。同じ利用者を担当しながら、アセスメントの切り口が異なる点が両職種の本質的な違いです。

多職種連携では、訪問看護計画書・報告書を通じた情報統合・共有が軸になります。よくある事例として、PTが実施した身体機能評価の結果(筋力低下・移乗リスク等)を看護師が計画書に反映し、医師への報告や居宅サービス計画の見直しへとつなげるプロセスが取られることがあります。この情報共有の仕組みが、専門性の異なる両職種の連携を支えています。

制度と職場環境をひと通り確認したうえで、将来性・給与・自分への適性を総合的に判断しましょう。

将来予測:PTとして訪問看護で働く2つのシナリオ

可能性が高いシナリオ:高齢化の進行に伴い、在宅リハビリ需要は拡大傾向が続く可能性があります。訪問看護STの従事者数はすでに常勤換算10万人超(令和5年調査)。ADL維持や終末期ケアにおけるPTの専門性が評価される方向性は今後も続く可能性があります。

リスクシナリオ:令和6年度介護報酬改定では、PT等訪問が看護職員訪問を超える事業所に-8単位/回の減算が新設されました。PT偏重の運営は制度上抑制されており、事業所方針次第でPTの訪問枠が制限される可能性があります。報酬方針は社会保障審議会介護給付費分科会で継続的に議論されるため、今後も制度内容が変わりうる点を念頭に置く必要があります。

給料の違い:データで見る看護師とPTの年収水準

訪問看護ステーションで給与データを確認するスタッフ

日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査」(調査期間2025年1月〜2月)の数値です。

区分 年収(スタッフ非管理職) n
病院・看護師 5,299,796円 1,428
訪問看護ST・看護師 5,087,248円 322

月額では訪問看護ST勤務者の税込給与総額は383,262円(2025年1月、n=637)です。看護師の場合、訪問看護STは病院より低い傾向があります。

注意点:この調査は看護師を対象としたものです。PTの給与は別職種のため同調査の対象外です。PT志望者は応募先の給与体系を個別に確認してください。

訪問看護 PT・看護師の違い:向いている人・向いていない人

自分が訪問看護での働き方に合っているかを、次の観点でセルフチェックしてください。

区分 特徴
向いている人 在宅でのADL維持・生活期リハに価値を感じる/看護師と密に連携できる/訪問回数ルールを理解して動ける
向いていない人 リハビリ訪問だけに専念したい/減算ルールや看護師主導の運営に抵抗がある

よくある質問(FAQ)

Q1. 訪問看護 PT 看護師 違い──給料はどちらが高い?

看護師データでは訪問看護ST(約509万円)は病院(約530万円)より低い傾向があります。PTは別職種のため公的データがなく、職種・事業所規模で差があります。基本給・訪問手当・賞与の内訳を必ず確認してください。

Q2. PTもオンコール対応はある?

基本的には看護師が担う事業所が多い傾向があります。規模の小さい事業所ほどPTがオンコールに対応するケースが出やすい傾向もあります。面接時に「PTがオンコールに入るか」を必ず確認してください。

Q3. 訪問看護でのPTと看護師の人間関係はうまくいく?

訪問看護計画書・報告書を通じた情報共有が前提の職場です。PTのアセスメント結果を看護師が計画に反映する連携が機能しているかを、職場見学や面接で確認することが有力な判断基準の一つです。

後悔しないためのアクションプラン

求人・面接時に以下を必ず確認してください。

  • PT/看護師の訪問回数バランス(前年度実績でPT訪問が看護師を超えていないか)
  • 減算の有無(-8単位が現在適用されているか)
  • 給与体系の内訳(基本給・訪問手当・賞与の金額)
  • オンコール対応の分担(PTに求められるか否か)
  • 看護師モニタリング体制(3か月に1回の実施状況)

訪問看護 PT 看護師 違いを正確に把握したうえで、これらすべてを納得いくまで確認できた場合に、転職を前向きに検討するスタンスが望ましいといえます。

参考文献・引用データ

本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。

この記事の監修者
株式会社ゴルディロックス
代表取締役 / 理学療法士龍嶋 裕二(Yuji Ryushima)

理学療法士として大学病院にて超急性期から緩和ケアまで多岐にわたる臨床を経験。2013年に独立し、株式会社ゴルディロックスを設立。 現在、リハビリ特化型デイサービスや訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所等複数の事業を経営。またクリニックの運営やプロアスリートから子供の身体発育までをサポートするパーソナルトレーナーとしても活動中。医学的知見に基づいた地域密着型のヘルスケア環境づくりを牽引している。

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