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平均年収を調べるほど、理学療法士 年収600万円という数字が遠く感じて、不安になる方は多いはずです。
平均値を見ると、確かに600万円は「標準ルート」ではない
POST編集部が令和7年賃金構造基本統計調査をもとに分析したデータによれば、リハ専門職(PT・OT・ST・視能訓練士の合算)の推定年収は令和7年で443.6万円、令和6年で444.1万円です(出典:POST編集部 1post.jp)。
この層の平均年齢は36.2歳、平均勤続年数は8.4年。つまり、平均的なキャリアを歩むだけでは、600万円には150万円以上の差があります。
ただし、職場の種別・役職・働き方の組み合わせによって600万円に到達している人が存在するのも事実です。一方で、条件を満たさなければ難しいケースも多いのが現実であり、単純な楽観論は禁物です。
この記事では、公的統計と報酬制度を根拠に、600万円に到達できる職場の条件と、自分に何が足りないかを具体的に検証していきます。
統計が示す理学療法士の年収の現在地:平均年収444万円の構造

先ほど触れた通り、リハ専門職(PT・OT・ST・視能訓練士の合算)の推定年収は令和6年・令和7年ともに444万円前後で推移しています。臨床実務経験年数を積み上げた場合の月給目安は以下の通りです(神戸医療福祉専門学校 解説サイト、2025年データ/一次統計ではなく解説サイト記載値)。
| 年齢・経験 | 月給目安 |
|---|---|
| 20〜24歳(新卒・経験0年) | 約25万円 |
| 25〜29歳(実務3年程度) | 約26.3万円 |
| 30〜34歳(実務6年程度) | 約28.8万円 |
6年の経験を経ても月給の上昇幅は3.8万円程度にとどまる傾向があります。30代前半で月28.8万円+賞与としても、年収600万円との差は依然として大きいです。
業界構造の問題もあります。令和6年賃金構造基本統計調査では「医療・福祉」の年間給与(賞与除く)は306.4万円で、全産業平均349.9万円を約43万円下回っています(出典:日本理学療法士協会 政策要望書)。理学療法士免許(国家資格)を持つ専門職でありながら、産業別では賃金水準が低い領域に位置する傾向があります。臨床だけを積み重ねる標準ルートでは、平均水準の昇給にとどまりやすいというのが現実です。
診療報酬・介護報酬の構造から見る、年収600万円を支払える職場の条件

1単位の売上と損益分岐点(一人当たり売上高)
診療報酬制度では、リハビリテーションは「単位」単位で算定されます。令和6年の主な点数(出典:リハビリテーション専門職団体協議会 緊急重点要望)は以下の通りです。
| 区分 | 点数(R6) | 1単位の売上 |
|---|---|---|
| 脳血管疾患等リハビリテーション料Ⅰ | 245点 | 2,450円 |
| 運動器リハビリテーション料Ⅰ | 185点 | 1,850円 |
| 廃用症候群リハビリテーション料Ⅰ | 180点 | 1,800円 |
1点=10円換算。1日18単位×20日勤務の場合、月間売上は概算で88万円前後になりますが、これは売上ベースの概算であり、人件費・経費控除前の値です(団体資料の試算をもとにした参考値。実績値ではありません)。
損益分岐点(一人当たり売上高)の観点では、年収600万円を支給するには月50万円以上の人件費原資が必要です。労働分配率50〜60%程度を考慮すると、1人のPTが月80万円超の売上を安定的に生み出せる施設でなければ、その水準の実現は難しい可能性があります。急性期・回復期の大病院や、高稼働率を維持できるクリニックが条件を満たしやすい傾向があります。
訪問看護ステーション・介護報酬とインセンティブ制度
介護報酬ベースの訪問系は、移動コストが発生し1件あたりの単価も低くなりやすい傾向があります。ただし、訪問看護ステーション等でインセンティブ制度(歩合・能力給)を導入している事業所では、担当件数次第で収入が上振れする可能性があります。制度の有無は事業所ごとに大きく異なるため、求人票・面接での確認が重要です。
理学療法士 年収600万円に近づくキャリアパスの型
理学療法士 年収600万円に近づきやすい職場・キャリアの類型を、一般的な傾向として整理します。
| キャリアパスの型 | 傾向・条件 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 管理職(主任・部長・施設長) | 昇給・昇進規定の有無が鍵 | 臨床時間が減る |
| 歩合制の整形外科クリニック等 | 年収500万円超の職場もある※ | 集患状況に左右される |
| 地方公務員(医療職俸給表) | 勤続で安定昇給しやすい | 役職なしでは上限がある |
| 医療機器メーカー(フィールドエグゼクティブ) | 求人票上は幅広いレンジ | 求人票値であり統計ではない |
| 養成校教員 | 施設による差が大きい | 教育・研究実績が必要 |
| 自費リハビリテーション(整体・コンディショニング) | 集客次第で大きく変動 | 経営リスクを自ら負う |
| 医療法人事務長候補など経営側 | ポテンシャルは高い傾向 | 経営・法務知識が必要 |
| ダブルワーク・副業の積み上げ | 本業次第で上積み可能 | 体力・時間管理が課題 |
※出典:神戸医療福祉専門学校 解説サイト(一次統計ではなく解説サイト記載値)
マネジメントスキルと昇給・昇進規定の整備状況が、管理職ルートの核心です。規定が曖昧な職場では役職についても給与が大きく上がらない場合があります。
認定理学療法士・専門理学療法士資格の位置づけ
認定理学療法士・専門理学療法士資格の取得者は、2025年3月31日時点で認定15,922名・専門1,752名(出典:日本理学療法士協会)です。資格取得が直接理学療法士 年収600万円を保証するわけではありませんが、専門性の証明として昇進・評価の材料になり得る傾向があります。職場の評価制度に資格手当や昇進加点の仕組みがあるかを事前に確認することが、資格活用の前提条件です。
年収600万円を目指すうえでの将来シナリオ

可能性が高いシナリオ
ベースアップの追い風は存在します。日本理学療法士協会は、令和7年度補正予算(2025年12月16日閣議決定、医療・介護等支援パッケージ約1.36兆円)について「3療法士1人当たり6万円の賃上げを実現し得る規模」と評価しています(出典:日本理学療法士協会 賃上げ支援申請周知資料)。対象期間は令和7年12月〜令和8年5月の6か月分です。管理職昇進・歩合制職場・公務員ルート・臨床外キャリアといった明確な条件を満たした場合、理学療法士 年収600万円に届く可能性があります。
リスクシナリオ
厚生労働省の需給推計(平成28年検討会資料)では、2040年頃に供給数が需要数の約1.5倍になるとの将来推計があります。平均的な働き方のままでは、賃金が上がりにくい構造が続く可能性があります。
また、高収入が期待されやすい職場ほど業務負荷が高い傾向があります。離職率データ(平成25〜27年平均/出典:厚生労働省需給分科会資料)では、訪問看護37.4%・介護分野平均18.8%・医療分野平均10.2%です。収入の高さとリスクはセットで検討することが重要です。
年収600万円を目指す適性チェックリスト
向いている人
- 管理職・マネジメントに前向きに取り組める
- 歩合や成果評価の環境を許容できる
- 認定理学療法士・専門理学療法士など資格取得・専門特化の学習を継続できる
- 公務員ルートや臨床外キャリアを長期で設計できる
向いていない人
- 臨床専念を最優先にしたい
- 収入変動を避けたい
- 転居や役割変化を望まない
後者の方が理学療法士 年収600万円を無理に追う必要はありません。安定や働きやすさを軸にする選択も合理的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 理学療法士の平均年収はいくらで、600万円に届く人はどんな人か?
リハ専門職(PT・OT・ST・視能訓練士の合算)の推定年収は令和7年で443.6万円です(POST編集部・令和7年賃金構造基本統計調査分析)。令和6年の医療・福祉分野の年間給与額(賞与除く)は306.4万円で、全産業平均349.9万円を下回る水準です(出典:日本理学療法士協会 政策要望書)。管理職・歩合制・公務員など、役職と職場の条件が複数重なった場合に600万円に届く可能性があります。
Q2. 訪問リハや訪問看護ステーションは年収が上がりやすいか?
インセンティブ制度次第では上がる余地があります。ただし、訪問看護の離職率は37.4%(平成25〜27年平均)と高い水準にある傾向があります。移動負担・オンコールの有無・インセンティブの算定方法を入職前に具体的に確認することが重要です。
Q3. 管理職になれば必ず年収600万円になるか?
なりません。昇給・昇進規定と組織の財務状況次第であり、役職手当が月数万円程度にとどまる事業所も少なくない傾向があります。「管理職になれば年収はいくら変わるか」を面接で数字として確認することが重要です。
次の一歩:確認すべきアクションプラン
- 現職の昇給・昇進規定と給与テーブルを人事部門に確認する
- 候補職場の給与体系(基本給・賞与・インセンティブ制度の有無)を求人票と面接で具体的に確認する
- 認定理学療法士・専門理学療法士など専門性の方向性を検討する
- 転職を検討する場合は複数の求人情報を比較する(マイナビコメディカル約19,171件〔2026年3月〕、PTOTSTワーカー17,017件〔2026年2月〕等)
理学療法士 年収600万円は、一部の職場で実現可能な水準です。条件とリスクを自分で確認し、納得できたときに進む判断が重要です。年収だけでなく、長期的な働き方の満足度も含めて選択してください。
参考文献・引用データ
本記事で使用している数値・制度内容・市場動向に関する情報は、以下の公的資料および信頼性の高い調査データを参照しています。
- 【厚生労働省】賃金構造基本統計調査(令和6年・令和7年)
- 【リハビリテーション専門職団体協議会】理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の処遇改善に関する緊急重点要望
- 【関西医療学園専門学校/神戸医療福祉専門学校】理学療法士の給与・年収・初任給の動向解説
- 【日本理学療法士協会】医療従事者の処遇改善に向けた税制優遇措置の導入に係る政策要望書
- 【厚生労働省】理学療法士・作業療法士の需給推計について(検討会資料)
- 【POST編集部】令和7年の療法士賃金動向:賃金構造基本統計調査に基づく分析
- 【日本理学療法士協会】認定・専門理学療法士等の資格取得状況(2025年3月時点)
- 【日本理学療法士協会】国の補正予算に基づく療法士の賃上げ支援申請の周知および概要
- 【日本理学療法士協会】令和6年度 予算・税制改正要望書および賃上げに関する実態調査
- 【日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会】理学療法士の転職エージェント比較と平均年収データ(2026年版)

